【月1読書】「君たちはどう生きるか」

今回読んだ本は、「君たちはどう生きるか」という本です。ジブリ映画「君たちはどう生きるか」を観て、本も読んでみたいなと思っていたところ、本屋で見つけたので買って読んでみた次第です。マンガのほうもあるようなのですが、小説のほうを読みました。また、補足しておくとこの本とジブリ映画「君たちはどう生きるか」は何にも関係ないようです。

ざっくり内容は、「コペルくん」という主人公の男の子とその叔父さんのやりとりや「叔父さんのノート」を通じてコペルくんの成長や経験から、不変な道徳であったり考え方などを知っていくというものでした。

この記事では印象に残った内容3つを紹介します。

経験から、「その時だけにとどまらない意味のあること」を考える

コペルくんの友達である北見くんが、いじめっこの山口くんに対して正面から意見を述べていじめられている子を助ける経験がありました。コペルくんはその「心打たれた」経験をしたと叔父さんに伝えます。叔父さんは、このような経験は「水を飲んだことがない人に対して水の味を伝えるのが難しいことと同じ」で、口で説明することは難しいと伝えます。他人から教わることが難しいことは、自ら経験をし、その経験から自分がどう思って、どう感じたか考えてみるということが大切である、という話でした。自分の考えや思いを、常に自分の体験から正直に出発することが大切だとも記載されていました。そこにゴマカシがあると、すべて嘘になってしまう、ということでした。そのような経験の中で、その時だけにとどまらない意味のあることがあるとき、そしてその存在を理解した時、それは個人の思想になる、というお話でした。

自分は、経験から自分がどう思いどう感じたかを考えてみることは、意識しないとできないことで、年齢関係なく難しいことであると感じました。また、都合よく物事を捉えたり、経験の記憶を改ざんしたりすることもあるだろうと思ったので、つまりはそのときそのときを大切に生きないといけないと思いました。

偉人にも尊敬できること、そうじゃないことがある

本にはナポレオンの話が出てきます。ナポレオンはとても有名な偉人で、24歳のとき将校だった彼が35歳のときには皇帝になり、すさまじい人生を歩んだ人です。とてつもない実行力と人間力を持っていたナポレオンでも、尊敬できる行いとそうではない行いがもちろんありました。歴史的に彼の行いが他の人々に強い苦しみを与えたというものもあります。ナポレオンが崇拝される点は、他の偉人も含め、彼の行動や成し遂げたことが人類の進歩に貢献した・つながったもののみであるということです。

ナポレオンの生涯を知ることでその実行力や人間力など尊敬できる点がありつつ、結局は人類の進歩に貢献したかどうかという点が偉人を偉人たる立場にするものだということでした。そして、若いうちはナポレオンのように強い志や、実際に英雄的な行動力、人間力をもった人がいても、おとなになるにつれて、周りの人不幸にしたり、人類の進歩に貢献しない英雄的な精神になっていたり、弱いがゆえに実行できなかったり、「英雄的な気魄」のない善良さのみをもつようになってしまう、という話でした。

人類の進歩に貢献するための揺るがない意志、勇気、行動力や人間力といったものを、我々は偉人から学べる現代にいるということを教えてくれる内容でした。

過ちをした過去は変えられない。過ちをもとにこれから自分がどう生きるか?

コペルの友人と約束した内容を守れず自暴自棄になってしまうシーンがあります。熱もでて眠れず、苦しむシーンです。人間の過ちや悲しみは、人間とは何かを教えてくれる体験であり、後悔はしてもそこから絶望してはいけない、という内容でした。

誤ちは心理に対して、ちょうど睡眠が目覚めに対するのと同じ関係にある

いくら勉学をしたとて、言葉だけの意味を知ることと、その言葉の真理をつかむことは全く異なり、真理をつかむためには成功も失敗も含めた経験が必ず人間には必要。過去の過ちを犯してしまったことは変えられないが、過去の経験をもとに、これから自分がどう生きていくか?それを考えるきっかけにつながるなら、その過ちにも価値がある、ということでした。

まとめ

結局ジブリ映画「君たちはどう生きるか」の内容と直接重なるものなどはなかったのですが、宮崎駿監督はこの本を色んな人に読んでほしかったのかなぁ、どうなんだろうなぁ、と思った今日このごろでした。

何度も読み直したくなる、素敵な本でした。